相手に対する独占欲 768、

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雑感


相手に対する独占欲



参照引用


目に見えないけれど大切なもの   渡辺和子


距離に耐える愛


ある日のこと、アメリカに単身赴任して間もない夫の写真を持って、
一人の卒業生が訪ねてきた。
写真には友人であろうか、数人の男女と談笑している、その人の夫の姿があった。

「よかったわね。現地にもお馴れになったようで」
という私の言葉に、その人は険しい顔つきで答えたのだった。

「私がいないのに、こんなに楽しそうにしているなんて、許せないんです」。
親の反対を押し切って恋愛結婚をしてから、
まだ
一年にもならない妻の言葉には、淋しさというより怒りがこもっていた。

愛するということは、すばらしいことだと思う。
しかし、本気で愛する時、そこには必ず苦しみが生じる。

愛する者を持たない時の淋しさとは異なった、
愛してしまったがゆえに味わう淋しさであり、苦しみである。


自分がいないというのに、
愛する相手が楽しい時間を過ごしていることに腹立たしい思いがするという気持ちの中には、

「私なしに幸せであってはならない」と
いう独占欲と、なにがしかの嫉妬もあるのだろう。


「私なしでも今幸せそうでよかった」と思うことができるためには、
相当の信頼と愛が必要であろうし、
私は、そこに自立心を加えたいと思う。

その人なしでも生きてゆける自分”を、しっかり持っていることなのだ。
そんなに強がらないでもすむ一生を送りたいものである。


しかし、人間である限り、愛する相手を絶えず自分の手の届くところに置いておくなど不可能であると知らねばならない。

かくて、。
一人でいられるということは、愛するために必要な能力となる。
「淋しさは、愛するためにある」
という言葉は、矛盾のようで真実なのだ。

親の子に対する愛、夫婦、恋人、友人同士の愛においても、
このような「覚悟」が必要なのではないだろうか。

そのためにも、人間。一人ひとりは別人格であり、
相手は決して自分の所有物ではないという、
一つの、思い切りを持って生きることが大切になる。



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